「民事信託」活用で財産管理、相続対策 伊達市保原町の司法書士大関総合事務所にお任せください。
信託は、財産管理のひとつの形態です。名義を移転させるというのが特徴であります。
信託の起源
中世ヨーロッパ(十字軍のイスラム征伐時代)十字軍に参加する兵士が留守宅に残した家族のために、財産を信頼できる友人に託して運用してもらい、生活費として家族に渡すという契約を行なった。これが「信託(契約)」の始まりと言われています。文字通り、信じて託すわけですから、「信頼関係」が非常に重要な鍵になります。
※ 十字軍とは
ヨーロッパのキリスト教国が、聖地エルサレムをイスラム教国から奪還するために派遣した遠征軍である。1096年から200年にわたって聖地エルサレムをめぐる戦いが繰り広げられた。キリスト教国側から見れば、異教徒に対する正義の戦い・・・
信託には、基本的に3者の登場人物がいます。
* 委託者:財産を持っている人
* 受託者:財産を管理する人
* 受益者:利益を享受する人
委託者がある特定の目的のために受託者に財産を預け、その利益は受益者が受け取ります。
「信託」とは、委託者が、自分が有する一定の財産(信託財産)を別扱いとして、信頼できる受託者に託して名義を移し、この受託者において、その財産を委託者が定めた一定の目的(信託の目的)に従って管理・活用・処分し、その中で託された財産や運用益を受益者に給付しあるいは財産そのものを引き渡し、その目的を達成する法制度です。
「信託」という文字は、「信じて託す」ということです。つまり、もう少しくだけて言えば、信頼できる人に財産の名義を移して当該財産の管理や活用、そして処分を託す制度であるということです。
民事信託は、信託銀行や信託会社が金融庁の監督の下で営業行為を行ういわゆる、商事信託とは異なります。
民事信託も商事信託も仕組みは同じですが両者には「営業か非営業か」の違いがあり、金融庁等の許認可が必要なのが商事信託です。
営利を目的とせず、特定の1人から1回だけ信託を受託しようとする場合には、信託業の免許は不要であり、このような信託を「民事信託」と呼びます。
今日では、財産の管理、財産の承継を目的とする信託、管理できない人に代わって管理して生活に必要な給付を確実にする信託、自己の判断能力の低下、死亡に備えて財産の管理・承継をする信託、高齢者・障害者等の財産管理・身上監護に配慮した生活支援のための『民事信託』の活用が広がっています。
民事信託においての信託の特徴は、財産管理、財産承継、そして倒産隔離機能です。もし委託・代理、贈与・相続・遺贈など従前の方法で問題が解決・対応できるなら、わざわざ信託を利用しないで慣れ親しんだ方法がよいのは当然です。
しかし、相続・贈与。財産管理の民法の仕組みを超えたニーズ・願いがあるときは、相続・事業承継手法として信託を検討することが有効な方法のひとつになります。
例えば、孫以降の世代については、遺言書の効力は及びません。代々地域に根づく名門一族の長であっても、遺言書で意志を伝えられるのは子の世代までです。同様に、遺言者が創業社長であっても、孫世代の財産管理、また事業への関わりについては、その意思表示は法的な効力を持ちません。
その点、信託ならば、「遺言信託」「遺言代用信託」などの方法で、孫以降の世代に対しても意思表示ができます。さらに言えば、「子供に実力と人望が備わるまでは、第三者を代表(2代目)に立て、子供には3代目を継がせる」といった指示も可能になります。
専門的には、信託期間に制限はありますが、「受益者連続」と言って、個人財産や創業した自分の会社について、代々、孫世代以降に至るまで「こうしてほしい」ということが指示できるのです。
■ 親族に障がい者で自立生活が困難な者がおり、長期にわたって継続的に遺産を給付したい。・・・現行制度では難しい。
■ 財産所有者が認知症になったときに、後見人をつけると財産が凍結されて、最低限の管理・保全のみしかできなくなってしまうことを危惧している。
■ 不動産が既に複数人の共有状態になっており、何をするにも全員の印鑑が求められ、管理が面倒である。将来における更なる分散が不安。
■ 再婚したい相手がいるが、入籍により相手方の親族にも相続権が与えられてしまうため、子供たちが入籍に反対している。
■ ペットを飼っているが、入院や介護施設への入居、死亡など自分が飼えなくなった後のことと、何よりも可愛いペットが殺処分になってしまうことが心配だ。
これらの問題は、従来の「民法」の考え方では解決が難しいが、「信託法」の世界では、簡単に解決できてしまうこともあります。
「親なき後の子の生活保障に信託の活用」、「高齢者の財産管理に信託の活用」、「共有状態解消に信託の活用」、「飼い主死亡後のペット飼育に信託の活用」等があります。
私が「信託」というものに魅力を感じるのは、信託を活用してオーダーメイドで問題の解決を図れるという、多様性と自由さです。
民事信託には、広く知られている「委任契約」「成年後見制度」「遺言」の各機能のよいところが含まれています。それぞれの制度を利用するにはそれぞれ別の手続きを必要としますが、民事信託では、ひとつの信託契約の中にそれらの機能を盛り込めることがもっとも大きなメリットといえます。
つまり、契約締結とともに委託者は財産管理を受託者に委ねることになります。そして、その後、委託者が病気や事故、認知症等で判断能力を喪失したとしても、一切影響をうけずに受託者による財産管理が遂行できるため、成年後見制度の後見人による財産管理の必要がなくなる可能性があります。
また最終的に、委託者の相続が起きた後、誰にどのような財産を遺すといった遺言で書くべきところを信託契約で遺しておくことで、預けていた財産の承継先が指定できるため、遺言の機能ももっているといえるのです。
民事信託とは家族のための信託です。
財産を有する者の願いの実現化のひとつの方法です。民法では自分のみための単なる財産管理は可能ですが、複数の者、家族・第三者を含めた、また将来の事情変化に対応できる管理は難しいのです。
次のような場合には、他の手法と比較して民事信託の活用を検討する余地があるように考えます。
私の事務所では、この「民事信託」の制度を採り入れた財産管理のコンサルティングを行い、ご家族にとって最良の「信託の設計書」を 作るお手伝いをしております。
ここでは、私の事務所での、実際の民事信託コンサルティングの流れを紹介します。具体的には、①相談 → ②提案 → ③受注 → ④コンサルティング → ⑤信託契約締結 → ⑥登記及び信託口座開設 → ⑦アフターフォロー というスケジュールで進んで行きます。
民事信託は、まだ一般にはあまり知られていない仕組みですから、「民事信託でお願いします」と言って来られる相談者は、ほとんどおりません。
相談者は、不動産業、保険業、税理士、介護施設など高齢者の資産にかかわりのある職種の方からの紹介も多く、財産管理や相続に対する漠然とした不安をかかえて来られます。
相談者が、高齢の親の財産管理に不安があったり、資産承継を連続させたかったり、共有不動産や株式の分散について悩んで相談に来ているのであれば民事信託の必要性が明確ですが、相談者の悩んでいることを聴き取る中で、相談者自身が気づいていなかった問題が表面化することも多いです。特に、認知症になったときのリスクを認識していない相談者も多くおられます。
私は、相談において、相談者の希望や想いを聴き取りをさせていただき、相談者の家庭に潜在するリスクで私が気づいたことを相談者にお伝えしております。
提案は、民事信託組成の入り口です。相談者の家庭の家族関係、資産関係などの状況、相談で聴き取りをした希望、想いと洗い出したリスクを総合的に検討させていただき、適切な解決策を提案させていただきます。
提案にあたっては、必ず提案書を作成し、民事信託だけでなく、成年後見制度、遺言、贈与など他の選択肢と比較検討した過程を反映させていきます。ここで大切なことは、各選択肢との単純な制度比較ではなく、相談者の家庭にあてはめた比較をお伝えします。何もしないという選択も、相談者にとっては選択肢の一つであります。
時には、信託以外の提案に至ることも当然にしてあります。贈与や遺言であったり、保険契約の活用で解決することもあるかと考えます。
提案に対して依頼を受ければ、コンサルティング業務について業務委託契約を締結いたします。
契約締結にあたって、契約当事者の一方(委託者)が高齢者であることが多いので、当事者の意思能力については個々の具体的な法律行為ごとに、個別的に慎重に判断をしなければなりません。
高齢者本人の意思を補助する範囲で家族等の同席のうえ、また家族と相談する時間を経て、重要な課題・選択肢を書面で明確化してその意思決定を図っていきます。
メインの業務であるコンサルティングでは、民事信託の詳細を詰めていきます。相談者の家族が、今後より円満に過ごすための「民事信託」の組成をめざすことになります。
基本的には、家族全員に「民事信託」の内容を説明し、希望を聞き、合意を得て慎重に進めていきます。
信託に登場する人物(委託者、受託者、受益者、信託監督人、受益者代理人等)の選定をし、財産ごとのリスクを洗い出し、解決策を練っていきます。また、コンサルティングにあたっては、税務について税理士、不動産投資について不動産業、保険活用について保険業などの専門家で信託を理解する者から知識を得て進めていくことになります。
民事信託の細部が固まれば、信託契約書の作成・契約締結へと進んでいきます。公正証書で信託契約書を作成する場合は公証人と打ち合わせをします。信託口座開設にあたっては金融機関と打ち合わせをします。
契約締結後は、速やかに登記申請と信託口座を開設します。
民事信託の組成が終われば業務は終わりということではなく、その後の、受託者などの当事者への法務アドバイスをさせていただいております。