「民事信託」活用で財産管理、相続対策 伊達市保原町の司法書士大関総合事務所にお任せください。
(解説)
成年後見制度を支える理念
「ノーマライゼーション・自己決定の尊重という理念と本人の保護の調和」が求められています。そのため、単に財産を管理するに止まらず、本人の生活を支えること(身上配慮義務)が後見人の役割とされています。
●ノーマライゼーション 高齢者や障害者であっても特別扱いをしないで、今までと同じような生活をさせようとする考え方
●自己決定の尊重 本人の自己決定を尊重し、現有能力(残存能力)を活用しようという考え方
●身上配慮義務 本人の状況を把握し配慮する義務。
任意後見制度
今は元気。でも、将来が心配。
もしも、判断能力が不十分になったら、支援してくれる人が欲しい。
そんなとき、支援してくれる人と将来の約束をし、支援内容を決め、 あらかじめ私(本人)と支援者の間で任意に契約を行う制度です。
法定後見制度
すでに判断能力が不十分になっているので、任意後見契約のように契約によって依頼できません。
そこで、法律がそのような役割を担う人を決める仕組み、これが法定後見制度です。法律によって、支援者を定めることから、法定代理人という位置づけになります。 この法定後見制度利用の要件である判断能力の有無や程度については家庭裁判所が判断します。
(解説)
つまり、成年後見制度は,大きく分けると,法定後見制度と任意後見制度の2つがあります。
また,法定後見制度は,「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれており,判断能力判断能力の程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。
法定後見制度においては,家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が,本人の利益を考えながら,本人を代理して契約などの法律行為をしたり,本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり,本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって,本人を保護・支援します。
(解説)
この制度を利用すると,家庭裁判所が選任した成年後見人が,本人の利益を考えながら,本人を代理して契約などの法律行為をしたり,本人または成年後見人が,本人がした不利益な法律行為を後から取り消すことができます。
ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,取消しの対象になりません。
「後見」制度の概要
● 対象となる方 判断能力が欠けているのが通常の状態の方
● 申立てをすることができる人 本人,配偶者,四親等内の親族,検察官など
● 取消しが可能な行為 日常生活に関する行為以外の行為
● 成年後見人に与えられる代理権の範囲 財産に関するすべての法律行為
● 制度を利用した場合の資格などの制限 医師,税理士等の資格や会社役員,公務員等の地位を失う
(解説)
この制度を利用すると,お金を借りたり,保証人となったり,不動産を売買するなど法律で定められた一定の行為について,家庭裁判所が選任した保佐人の同意を得ることが必要になります。保佐人の同意を得ないでした行為については,本人または保佐人が後から取り消すことができます。ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,保佐人の同意は必要なく,取消しの対象にもなりません。
また,家庭裁判所の審判によって,保佐人の同意権・取消権の範囲を広げたり,特定の法律行為について保佐人に代理権を与えることもできます(※)。
(※)保佐人の同意権・取消権の範囲を広げたり,保佐人に代理権を与えるためには,自己決定の尊重から,当事者が,同意権等や代理権による保護が必要な行為の範囲を特定して,審判の申立てをしなければなりません。また,保佐人に代理権を与えることについては,本人も同意している必要があります。この申立ては,保佐開始の審判の申立てとは別のものです。
「保佐」制度の概要
● 対象となる方 判断能力が著しく不十分な方
● 申立てをすることができる人 配偶者,四親等内の親族,検察官など
● 保佐人の同意が必要な行為 民法13条1項所定の行為
● 取消しが可能な行為 民法13条1項所定の行為
● 保佐人に与えられる代理権の範囲 申立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」
● 制度を利用した場合の資格などの制限 医師,税理士等の資格や会社役員,公務員等の地位を失う
※ 民法第13条第1項の行為
1. 貸金の元本の返済を受けたり、預貯金の払戻しを受けたりすること。
2. 金銭を借り入れたり、保証人になること。
3. 不動産をはじめとする重要な財産について、手に入れたり、手放したりすること。
4. 民事訴訟で原告となる訴訟行為をすること。
5. 贈与すること、和解・仲裁合意をすること。
6. 相続の承認・放棄をしたり、遺産分割をすること。
7. 贈与・遺贈を拒絶したり、不利な条件がついた贈与や遺贈を受けること。
8. 新築・改築・増築や大修繕をすること。
9. 一定の期間を超える賃貸借契約をすること。
(解説)
この制度を利用すると,家庭裁判所の審判によって,特定の法律行為について,家庭裁判所が選任した補助人に同意権・取消権や代理権を与えることができます(※)。
ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,補助人の同意は必要なく,取消しの対象にもなりません。
(※)補助人に同意権や代理権を与えるためには,自己決定の尊重の観点から,当事者が,同意権や代理権による保護が必要な行為の範囲を特定して,審判の申立てをしなければなりません。この申立ては,補助開始の審判とは別のものです。なお,補助に関するこれらの審判は,本人自らが申し立てるか,本人が同意している必要があります。
「補助」制度の概要
● 対象となる方 判断能力が不十分な方
● 申立てをすることができる人 配偶者,四親等内の親族,検察官など
● 補助人の同意が必要な行為 申立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」(民法13条1項所定の行為の一部)
● 取消しが可能な行為 申立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」(民法13条1項所定の行為の一部)
● 補助人に与えられる代理権の範囲 申立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」
● 制度を利用した場合の資格などの制限 なし
(解説)
本人の親族以外にも,法律・福祉の専門家(弁護士、司法書士、社会福祉士等)その他の第三者や,福祉関係の公益法人その他の法人が選ばれる場合があります。成年後見人等を複数選ぶことも可能です。また,成年後見人等を監督する成年後見監督人などが選ばれることもあります。
しかし,成年後見人等の職務は本人の財産管理や契約などの法律行為に関するものに限られており,食事の世話や実際の介護などは,一般に成年後見人等の職務ではありません。
そうすることで,本人の判断能力が低下した後に,任意後見人が,任意後見契約で決めた事務について,家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもと本人を代理して契約などをすることによって,本人の意思にしたがった適切な保護・支援をすることが可能になります。
(解説)
これまで,成年後見制度のうち「後見」が開始された本人については,公職選挙法の規定により,選挙権が制限されていましたが,平成25年5月27日,「成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律」が成立し,「後見」が開始された本人の選挙権の制限はなくなることとされました。
これにより,平成25年7月以降に公示・告示される選挙から,「後見」が開始された本人も投票をすることができることとなりました。
なお,「保佐」及び「補助」が開始された本人については,もともと選挙権は制限されていませんでしたので,これまでどおり,選挙で投票することができます。
(解説)
成年後見登記制度は,成年後見人などの権限や任意後見契約の内容などをコンピュータ・システムによって登記し,登記官が登記事項を証明した登記事項証明書(登記事項の証明書・登記されていないことの証明書)を発行することによって登記情報を開示する制度です
(解説)
後見開始の審判がされたときや,任意後見契約の公正証書が作成されたときなどに,家庭裁判所または公証人の嘱託によって登記されます。
また,登記されている本人・成年後見人などは,登記後の住所変更などにより登記内容に変更が生じたときは「変更の登記」を,本人の死亡などにより法定後見または任意後見が終了したときは「終了の登記」を,申請する必要があります。この「変更の登記」「終了の登記」の申請は,本人の親族などの利害関係人も行うことができます。登記の申請は,書留郵便で行うことができます。